刑事事件コラム

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2020.04.03更新

[ Q ]

商標法違反(商標権侵害)とは何ですか?

[ A ]

商標権を有する者や会社は,設定の登録から10年間の存続期間内において,指定商品について登録商標を使用する権利を専有しています(ただし,存続期間は更新することができます。)。

商標権侵害とは

商標権侵害とは,登録商標と同一の指定商品に,登録商標を使用する行為のことを言います。具体的には,偽ブランドの商品をそれと知りながら販売する行為がこれに該当します。

商標法違反の罰則

商標法違反については,10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金,またはその両方が併科されるとされており,非常に重い刑罰が定められています。商標の価値をそれだけ守ろうとしているのです。

さいごに

偽ブランドの販売は法律上許されるものではありません。仮にこうした行為を行ってしまい,捜査を受けることになった場合は,お早めに弁護士にご相談ください。  

投稿者: 弁護士法人桑原法律事務所

2020.03.31更新

別件逮捕とは

別件逮捕とは,裁判所から逮捕状を得るだけの嫌疑がない事実(以下「本件」と言います。)について取調べなどの捜査を行うために,逮捕するだけの証拠がある「別件」による逮捕を行うことを言います。重大事件を起こした被疑者を逮捕したいが証拠がない場合に,証拠がある別の被疑事実に基づいて逮捕してしまうものです。

別件逮捕は適法なのか

このような別件逮捕は適法なのでしょうか。別件逮捕が違法の場合,逮捕後に作成された供述調書が証拠として認められない可能性が生じます。よって,別件逮捕が適法なのかが重要となります。

「別件」での逮捕の理由や必要性がないのに,「本件」での取調べを行う意図で「別件」での逮捕を行うことは,明確に違法となります。

一方,「別件」での逮捕について理由や必要性が認められる場合については,様々な見解があります。
(この場合,適法と考えるものや,その後の捜査が「本件」についてされていると評価される場合は違法とするものなど。)

弁護人の活動

弁護人としては,別件逮捕ではないかと疑われる場合,十分な調査を行い,供述調書が適法な証拠かなどを検討することになります。

 別件逮捕とは

投稿者: 弁護士法人桑原法律事務所

2020.03.16更新

今回は,保護責任者遺棄罪について解説いたします。

はじめに条文を確認しましょう
第218条(保護責任者遺棄等)
老年者幼年者身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し,又はその生存に必要な保護をしなかったときは,3月以上5年以下の懲役に処する。
1 客体(行為の向けられる対象)

保護責任者遺棄罪の客体は,「老年者幼年者身体障害者又は病者」に限定されますが,いずれも,「扶助を必要とする」状態であることが必要です。
「老年,幼年」の判断は,年齢のみで決められるものではなく,「扶助を必要とするか否か」との関係において相対的に判断されます。また,泥酔者は,「病者」に該当すると考えられています。

2 主体(行為を行う者)

保護責任者遺棄罪の主体は,「老年者幼年者身体障害者又は病者を保護する責任のある者」に限られます。この保護責任は,法令の規定,契約,条理等に基づき発生します。
親権者の子に対する監護義務や,ベビーシッター契約に基づき引き取った幼児に対する監護義務,同棲を始めた女性の連れ子への監護義務等が代表的な例として挙げられます。

3 行為

「遺棄し,又はその生存に必要な保護」をしないことになります。

「遺棄」とは

遺棄」とは,客体を場所的に移転させること(安全な場所から危険な場所に移すこと)に加え,置き去りのように,客体を危険な場所に放置する行為を指します。

「生存に必要な保護をしない」とは

生存に必要な保護をしない」とは,場所的離隔を伴わず,客体が生存していくために必要な保護をしないことをいいます。
同居しながら,幼い子供に食事を与えない行為,病気で体の自由がきかない両親に食事を与えない行為などが代表例としてイメージしやすいでしょう。

4 まとめ

以上のように,保護責任者遺棄罪が成立するか否かには多様な考慮要素が存在し,一概に判断することは困難です。
懲役刑もある重大事件ですので,本条に該当するかもしれないと少しでも疑いがあるときは,速やかに弁護士に相談されることをお勧めいたします。

 保護責任者遺棄罪とは

投稿者: 弁護士法人桑原法律事務所

2020.03.09更新

【 Q 】

万引きをして自宅に帰ってきたのですが,お店の至るところに防犯カメラがあり,おそらく万引きをしているところが映っていると思います。
万引きが防犯カメラに映っているだけで,逮捕されることはあるのでしょうか。

【 A 】

万引きが防犯カメラに写っているだけで,逮捕される可能性があります。

 

【 解説 】

逮捕の種類として,通常逮捕現行犯逮捕緊急逮捕というものがあります。上記の事例では,通常逮捕という方法ができるのかという点で検討します。
それぞれの逮捕の種類については,こちらで解説しています。

通常逮捕の場合,被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由(逮捕の理由)と,逮捕の必要性が認められる必要があります。
防犯カメラ映像は,逮捕の理由を判断する資料のひとつとなります。防犯カメラ映像,その他の資料から,逮捕の理由があると判断されれば,逮捕が認められることとなります。
ですので,万引きが防犯カメラに写っているだけで逮捕される可能性はあり得ます。

もしも万引きをしてしまったのであれば,できるだけ早く弁護士へご相談ください。

防犯カメラの映像だけで逮捕されるか

投稿者: 弁護士法人桑原法律事務所

2020.03.02更新

【 Q 】

万引き(窃盗罪)で逮捕された場合,執行猶予はつけられますか?
前科がある場合はどうでしょうか?

【 A 】

今回は,「前科がない場合」と「前科がある場合」の執行猶予の要件について,解説いたします。

■ 前科がない場合

前科がない場合の執行猶予の要件は,簡潔にいうと,以下のとおりです。
※ 執行猶予についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

① 3年以下の懲役,禁錮,50万円以下の罰金の判決であること
② 情状として執行猶予に付すべきであること

したがって,前科がないのであれば,前科がある場合に比べ,執行猶予が認められやすいと思われます。

 

■ 前科がある場合

前科がある場合,その状況によって,執行猶予の要件が変わってきます。

▽ 前刑の執行猶予期間が満了している場合

この場合の執行猶予の要件は,前科がない場合と同様です。

① 3年以下の懲役,禁錮,50万円以下の罰金の判決であること
② 情状として執行猶予に付すべきであること

もっとも,前科があるということで,情状として執行猶予に付すべきという部分の判断が厳しくなされることになると考えられます。

▽ 前刑の執行猶予期間中の場合

この場合の執行猶予の要件は,以下のとおりです。

① 1年以下の懲役,禁錮の判決であること
② 情状として執行猶予に付すべき特に酌量すべき事情があること

特に酌量すべき事情が必要となりますので,厳しい要件となっています。

▽ 前刑により刑事施設に収容され出所した場合

この場合の執行猶予の要件は,以下のとおりです。

① 執行を終えてから5年経過していること
② 3年以下の懲役,禁錮,50万円以下の罰金の判決であること
③ 情状として執行猶予に付すべきであること

もっとも,前科があるということで,情状として執行猶予に付すべきという部分の判断が厳しくなされることになると考えられます。

万引き(窃盗罪)での逮捕。執行猶予はつけられる?前科がある場合は?

投稿者: 弁護士法人桑原法律事務所

2020.01.28更新

【 Q 】

万引きで執行猶予中に,再度万引きをしてしまいました。今後,どうなってしまうのでしょうか。

【 A 】

前回は,執行猶予期間内に再度罪を犯してしまった場合でも,執行猶予が付される可能性があることを説明しました。
前回記事:執行猶予中の万引きで再度逮捕されたらどうなる?

しかしながら,執行猶予期間内に再度罪を犯してしまった場合,執行猶予が取り消されるケースもあります。

■ 執行猶予の取消しとは

執行猶予の取消しには,① 必要的取消し と ② 裁量的取消し があります。

① 必要的取消し

執行猶予の期間内に更に罪を犯して禁固以上の刑に処せられ,その刑の全部について執行猶予の言渡しがないときには,執行猶予は必要的に取り消されます(刑法第26条第1号)
したがって,ご質問の場合,再度犯した万引きについて,懲役2年の判決を宣告された場合(執行猶予の言渡しがない場合)には,執行猶予が必要的に取り消されることになります。

② 裁量的取消し

執行猶予の期間内に更に罪を犯し,罰金に処せられたときには,裁判所は,刑の全部の執行猶予を取り消すことができるとされています(刑法第26条の2第1号)
したがって,ご質問の場合,再度犯した万引きについて,罰金刑を宣告された場合には,裁判所の裁量で執行猶予が取り消される可能性があります。

■ さいごに

このように,執行猶予期間中に再度罪を犯した場合でも,様々な結論が予想されますが,上記は予想される結論のうち,主なものに限定して説明しています。
さらに詳しく知りたいという方は,一度弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

執行猶予中の再犯で執行猶予は取り消される?

 

▼ 補足: 根拠条文

刑法第26条(執行猶予の必要的取消し)
次に掲げる場合においては、刑の執行猶予の言渡しを取り消さなければならない。ただし、第三号の場合において、猶予の言渡しを受けた者が第25条第1項第二号に掲げる者であるとき、又は次条第三号に該当するときは、この限りでない。

1 猶予の期間内に更に罪を犯して禁錮以上の刑に処せられ、その刑について執行猶予の言渡しがないとき。
2 猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その刑について執行猶予の言渡しがないとき。
3 猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられたことが発覚したとき。

刑法第26条の2(執行猶予の裁量的取消し)
次に掲げる場合においては、刑の執行猶予の言渡しを取り消すことができる。

1 猶予の期間内に更に罪を犯し、罰金に処せられたとき。
2 第25条の2第1項の規定により保護観察に付せられた者が遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いとき。
3 猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その執行を猶予されたことが発覚したとき。

投稿者: 弁護士法人桑原法律事務所

2020.01.24更新

【 Q 】

万引きで執行猶予中に,再度万引きをしてしまいました。今後,どうなってしまうのでしょうか。

【 A 】

今回は,「万引き(窃盗)で執行猶予判決が下され,執行猶予期間中に再度万引きをしてしまった」という事案について検討します。主としてどのような可能性があるのか,具体的にみていきましょう。

 

■ 執行猶予とは

まず,執行猶予とは,有罪判決に基づいて宣告された刑について,情状によってその執行を一定期間猶予し,その言渡しを取り消されることなく執行猶予期間が満了した場合には,刑罰権を消滅させる制度をいいます。

例えば,懲役1年,執行猶予3年という判決の場合,裁判が確定した日から3年が経過すれば,刑罰権が消滅することになります(刑法第27条)

■ 執行猶予の要件

ここで,執行猶予の要件についてみておきましょう。

① 前に禁固以上の刑に処せられたことがない者か,前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても,その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがない者

② 3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたこと

③ 情状

上記の①から③を充たした場合には,裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間,その刑の全部の執行を猶予することができます(刑法第25条第1項)
これは,初めて執行猶予が付される場合についての要件です。

執行猶予中の万引きで再度逮捕されたらどうなる?

■ 執行猶予中の再犯でも執行猶予は付くの?

では,執行猶予期間内に,再度罪を犯してしまった場合はどうなるのでしょうか?
この場合でも,執行猶予が付される可能性があります(刑法第25条第2項)

● 執行猶予の要件(執行猶予中の再犯の場合)

下記の①から④を充たした場合には,再度,執行が猶予される可能性があります。

① 前に禁固以上の刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者であること

② 1年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受けたこと,

③ 情状に特に酌量すべきものがあること

④ 保護観察に付せられ,その期間内に更に罪を犯した者ではないこと

■ まとめ

したがって,質問の例では,再度犯した万引きについて懲役1年の判決を宣告され,情状に特に酌量すべきものがあれば,再度執行猶予が付与される可能性があります。

次回記事では,執行猶予期間内に再度罪を犯してしまった場合に,執行猶予が取り消されるケースについて,解説いたします。

執行猶予中の万引きで再度逮捕されたらどうなる?

 

投稿者: 弁護士法人桑原法律事務所

2020.01.16更新

【 Q 】

窃盗罪で保釈される場合,保釈金はいくらぐらいになりますか?

【 A 】

150万円程度が多いとされています。

 窃盗罪(万引き)で保釈される場合の保釈金の金額は?

【 詳しい解説 】

今回は,窃盗罪(万引き)での保釈金の金額について,解説します。
前回記事: 窃盗罪(万引き)での保釈は可能ですか?

事 例

妻と子がいる会社員であるAさんが,スーパーで食料品等10点(3000円相当)を万引きしました。子どもはまだ幼く,妻はパートをしていますが,生活のためにはAさんの収入が必要不可欠な状況です。Aさんは以前にも万引きをして逮捕されたことがありました。
Aさんは後日起訴されました。

 

■ 保証金を納めなければ保釈は許されない

上記のような万引きの事案で,保釈が認められる場合,保証金はいくらになるのでしょうか。
保釈は保証金を納めなければ許されませんので(刑事訴訟法94条),Aさんが保証金を納めることができるか,その金額が問題になります。

保証金額は,犯罪の性質及び情状証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して,被告人の出頭を保証するに足りる相当な額でなければならないとされています(刑事訴訟法第93条第2項)

■ 窃盗罪(万引き)での保証金の相場

一般的な万引きの事案であれば,保証金は150万円程度が相場といわれています。
もっとも,被告人の資力が高い場合や,事案が悪質であり,実刑判決が予想されて逃亡のおそれが高い場合などは,高額になるケースもあると思われます。

■ 保釈が取り消される場合

仮に,被告人が逃亡したなど,刑事訴訟法第96条第1項(※下記に条文を記載)の事由が生じた場合には,保釈が取り消される可能性があります。その場合,保証金の全部又は一部が没収される可能性があります(刑事訴訟法第96条第2項)

刑事訴訟法第96条(保釈、勾留の執行停止の取消)

裁判所は、左の各号の一にあたる場合には、検察官の請求により、又は職権で、決定を以て保釈又は勾留の執行停止を取り消すことができる。

1号 被告人が、召喚を受け正当な理由がなく出頭しないとき。
2号 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
3号 被告人が罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
4号 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき。
5号 被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき。

2 保釈を取り消す場合には、裁判所は、決定で保証金の全部又は一部を没取することができる。

3 保釈された者が、刑の言渡を受けその判決が確定した後、執行のため呼出を受け正当な理由がなく出頭しないとき、又は逃亡したときは、検察官の請求により、決定で保証金の全部又は一部を没取しなければならない。

 窃盗罪(万引き)で保釈される場合の保釈金の金額は?

投稿者: 弁護士法人桑原法律事務所

2020.01.14更新

【 Q 】

窃盗罪の保釈は可能ですか?

【 A 】

事案にもよりますが,可能です。

 

【 詳しい解説 】

今回は,窃盗罪の保釈に関する相談です。
窃盗罪といっても,万引き,スリなど,いろいろな態様があります。今回は,以下のような万引きの事例で,保釈が可能かについて検討します。

事 例

妻と子がいる会社員であるAさんが,スーパーで食料品等10点(3000円相当)を万引きしました。子どもはまだ幼く,妻はパートをしていますが,生活のためにはAさんの収入が必要不可欠な状況です。Aさんは以前にも万引きをして逮捕されたことがありました。
Aさんは後日起訴されました。

万引きは窃盗罪であり,法定刑は,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。

保釈とは

まず,保釈とはどのような手続でしょうか。

刑事訴訟法第88条第1項
勾留されている被告人又はその弁護人,法定代理人,保佐人,配偶者,直系の親族若しくは兄弟姉妹は,保釈の請求をすることができる。

上記で「被告人」と規定されているとおり,保釈は起訴後にしか認められません。起訴後に勾留(刑事訴訟法第60条)され,身柄を拘束されている被告人は,保釈が認められれば勾留の執行が停止され,身柄が解放されることになります。

窃盗罪(万引き)での保釈は可能ですか?

どのような場合に保釈が認められる?

では,どのような場合に保釈が認められるのでしょうか?
保釈の類型として,必要的保釈(刑事訴訟法第89条)職権保釈(刑事訴訟法第90条)があります。

必要的保釈とは

必要的保釈とは,保釈の請求がなされた場合に,刑事訴訟法第89条に定める事由に該当しなければ,必ず認められるものです。

刑事訴訟法第89条(必要的保釈)
保釈の請求があったときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。

1 被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
2 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
3 被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
4 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
5 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏い怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
6 被告人の氏名又は住居が分からないとき。

 

■ 本件で必要的保釈は認められる?

それでは,本件において,必要的保釈が認められるでしょうか?

本件は窃盗罪であり,法定刑が「10年以下の懲役」と定められています。これは,刑事訴訟法第89条第1項の,「被告人が」「短期1年以上の懲役」「に当たる罪を犯したものであるとき」に該当しますので,必要的保釈は認められないということになります。

もっとも,必要的保釈が認められない場合であっても,裁判所は職権で保釈を許すことができます(職権保釈)。

 

職権保釈とは

職権保釈については,刑事訴訟法第90条に以下のとおり規定されています。

刑事訴訟法第90条(職権保釈)
裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。

■ 本件で職権保釈は認められる?

それでは,本件において職権保釈が認められるでしょうか?

弁護人としましては,妻と幼い子どもを捨てて逃亡する可能性は低いこと,被疑事実の内容から,罪証隠滅の可能性は低いこと身体拘束が長期化することでAさんが職を失い,家族の生活も苦しくなる可能性が高いこと,などを主張することになるでしょう。

本件においては,保釈が認められる可能性は十分あると思われます。

 

次回記事では,本件で保釈が認められる場合の保証金の金額について解説します。

 

窃盗罪(万引き)での保釈は可能ですか?

投稿者: 弁護士法人桑原法律事務所

2020.01.09更新

【 Q 】

刑務所から出所して7年経ちます。もし,いま万引きで逮捕されたら,執行猶予をつけることは可能でしょうか。

【 A 】

前刑の執行が終わった日から7年が経過していますので,執行猶予をつけることは,法律上は可能です。もっとも,判決で言い渡される懲役刑が3年以下でなければなりませんし,執行猶予の要件に該当する場合であっても,必ずしも執行猶予が付されるとは限りません。

今回は,すでに実際に懲役刑に付されていることを考えると,宣告される刑が長期になる可能性もありますし,執行猶予を付すべきではないと判断される可能性があると思われます。

したがって,法律上は執行猶予を付されることは可能であるが,必ずしも付されるとは限らないということになります。


■ 執行猶予の要件は,次のとおりです。

今回のケースについては,2号が関係してくることとなります。

刑法第二十五条(刑の全部の執行猶予)

次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。
一 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
二 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者が一年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときも、前項と同様とする。ただし、次条第一項の規定により保護観察に付せられ、その期間内に更に罪を犯した者については、この限りでない。

 刑務所を出所して7年後の逮捕。執行猶予を付けることは可能?

投稿者: 弁護士法人桑原法律事務所

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