執行猶予判決、社会復帰を目指すために
公判で有罪が確定しても、執行猶予の判決がつけば刑の執行が一定期間猶予され、刑務所に入ることがなくなります。
執行猶予付きの判決を目指し、ご本人が日常生活を送りながら社会復帰ができるようサポートいたします。
執行猶予が付かず実刑判決を受けた場合のデメリット
- 強制的に刑務所に入ることになる
- 実刑が確定すると、刑務所に入所することになります。日々の行動が制限され、移動や家族との交流もままならない生活が始まるため、大きなストレスを抱えることになります。
- 出所した後でのリスタートが困難になりやすい
- 実刑を受けることで社会的な信用は大きく失墜します。職を失う可能性が高く、離婚など家庭崩壊に陥るケースも少なくありません。出所後の再出発にも大きな困難が伴います。
- 刑務所内で悪い影響を受けることもある
- 刑務所内での人間関係から、悪い影響を受けてしまうケースがあります。出所後の健全な社会復帰を妨げる要因となるため、注意が必要です。
執行猶予判決を受けるメリット
- 刑務所に入所することがない
- 執行猶予期間中は刑務所に入所する必要はなく、有罪判決により生じうる支障があるほかは、通常の日常生活を送ることができます。
- 精神面の安定が得られる
- 執行猶予が付くと、刑務所に入所せず通常と変わらない日常生活を送ることができるため、精神的な安定が得られます。家族や友人と一緒に過ごせる、仕事もこれまでと変わらずできるといったことのほか、何かあれば弁護士に相談できる環境もメリットでしょう。
- 社会復帰を阻害するブランクがない
- 長年、刑務所で過ごして釈放された場合、社会復帰をするにあたってブランクがあることがネックとなります。刑務所に入ることなく社会生活を送ることができる執行猶予はブランクが生じないため、大きなメリットとなります。
執行猶予に関する解決事例
窃盗事件で執行猶予付き判決となった事例
- 事件の概要
- 被告人が万引きをしたとして起訴された事件
- 解決例
- 前科前歴が多数あったため、示談が成立しない限り、執行猶予の可能性は極めて低い事件でした。 そこで、弁護士が被害者店舗へ直接赴き、真摯に謝罪をするとともに謝罪文を交付し、万引きした品を返還して被害弁償をしました。そのうえで、宥恕文言(「宥恕」とは許すという意味の言葉です)を含めた示談書を取り交わしました。
また、前科前歴が多数あったため、ご本人には病院で治療を受けることをすすめ、実際に病院で診察を受け、診断書を裁判所に提出するなどしました。 弁護士の活動の結果、執行猶予付きの判決となりました。
詐欺事件で執行猶予付き判決となった事例
- 事件の概要
- 被告人が被害者から数百万円を詐取したとして起訴された事件
- 解決例
- 被告人には前科前歴が多数ありました。弁護士が被害者のご自宅へ何度も赴き、粘り強く協議を続けました。結果、被害金額の8割程度を頭金として支払い、残金は分割するという条件で被害者の了承を得て、刑事告訴の取消しと宥恕文言(「宥恕」とは許すという意味の言葉です)を入れた示談書を取り交わすことができました。
その後、執行猶予付きの判決となりました。
窃盗事件で執行猶予付き判決となった事例
- 事件の概要
- 無銭飲食および同所での置き引きにより逮捕・起訴された事件。県をまたいで無銭飲食・置き引きを繰り返しており、被害者が5名いました。
- 解決例
- 懲役前科のある被告人でしたが、弁護士が被害者5名と示談の協議を行いました。活動の結果、ほとんどの被害者の方から宥恕(「宥恕」とは許すという意味の言葉です)をいただけたため、執行猶予付き判決を得ることができました。
また、この被告人は、身柄が開放されても住むところも働くところもないという方だったため、保護観察所の方と連携を取り、更生施設に入所できるよう調整しました。
執行猶予に関するよくある質問
Q
執行猶予とは何ですか?
A
「執行猶予」とは、判決の執行を猶予する制度です。本来なら刑務所に入所するべきところを、執行猶予期間は入所せずに済み、再び問題を起こさない限り執行猶予期間を過ぎれば、刑の言い渡しそのものが消滅します。
Q
執行猶予がついても前科は残るのですか?
A
執行猶予付きの判決であっても有罪であることには変わりありませんので、前科は残ります。執行猶予期間が過ぎて刑の言い渡しが消滅したとしても、刑を言い渡された事実は消えないのです。