強盗とは
強盗とはどのような犯罪でしょうか。
よくあるイメージとしては,「犯人が銀行に赴き,ナイフや拳銃を手に,行員に対し「金を出せ」と言い,出された現金を奪う」といったことがあると思います。
刑法では,「暴行又は脅迫を用いて他人の財産を強取した者」を強盗犯人と規定しています。
ここでいう,「暴行又は脅迫」とは,単に暴行または脅迫があったというだけでは足りず,被害者の反抗を抑圧するに足る程度のものである必要があります。ナイフや拳銃を突きつけるのであれば,通常は,被害者の反抗を抑圧するに足る程度の暴行又は脅迫であるといえます。
「強取」とは,相手方の反抗を抑圧するに足りる暴行または脅迫を手段として,財物の事実上の占有を自己が取得し,または第三者に取得させることをいいます。
ナイフや拳銃を示して,現金を手にすることは,相手方の反抗を抑圧するに足りる暴行または脅迫を手段として,財物の事実上の占有を自己が取得したといえますので,強取にあたるといえます。
したがって,上記の「犯人が銀行に赴き,ナイフや拳銃を手に,行員に対し「金を出せ」と言い,出された現金を奪う」という例は,強盗にあたるといえます。上記の例は典型的な強盗の場合ですが,ひったくりであっても,状況によっては強盗となる可能性があります。
事後強盗とは
事後強盗とは,「窃盗が,財物を得てこれを取り返されることを防ぎ,逮捕を免れ,又は罪跡を隠滅するために,暴行又は脅迫をしたとき」と定められています(刑法238条)。
窃盗を行ったとしても,そのあとの行為によっては,強盗となる可能性があります。このようなものを,事後強盗といいます。
事後強盗の成立要件
まず,主体は窃盗犯人です。窃盗に着手していればよいので,窃盗を行っている途中で犯行が発覚した場合であっても,事後強盗の主体となります。
また,法定の目的をもって,暴行または脅迫をする必要があります。法定の目的には,「財物を得てこれを取り戻されることを防ぐ目的」,「逮捕を免れる目的」,「罪跡を隠滅する目的」があります。
暴行または脅迫がなされる必要がありますが,その程度は,事後強盗も強盗ですので,相手の反抗を抑圧するに足りる程度のものである必要があります。たとえば,「スーパーで万引きをし,それが発覚し,捕まらないように逃げ,その際,店員や警備員に暴行または脅迫を行った」場合,事後強盗となる可能性があります。
事後強盗の法定刑
事後強盗は,強盗なので,法定刑は5年以上の有期懲役となります。
窃盗の法定刑が,10年以下の懲役または50万円以下の罰金であることからすれば,単なる万引きであると思っていたとしても,思いがけず重い罪になる可能性があります。
お悩みの際には,お早めに弁護士にご相談ください。