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2018.04.03更新

平成30年3月9日,警察庁から,平成29年犯罪の統計資料(確定版)が公表されました。
ご興味のある方は,こちらからご参照ください。以下では,統計資料の見方や留意点について説明いたします。

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1 統計資料の見方

資料の見方を若干説明しておきます。

■「認知件数」というのは,警察等捜査機関が,犯罪被害の申告をうけるなどして,犯罪発生を認識した件数,ということです。
■「検挙件数」というのは,警察等が犯罪容疑で検挙した事件の数です。
■「検挙人員」というのは,警察等が犯罪容疑で検挙した被疑者の数です。

例えば,犯罪統計資料のうち,例年,数字が減少傾向にある犯罪全体のなかで,検挙件数と検挙人員が増加傾向にある【強制わいせつ罪】について,見てみましょう。

強制わいせつ H25 H26 H27 H28 H29
認知件数 7654 7400 6755 6188 5809
検挙件数 3976 4300 4129 4207 4320
検挙人員 2487 2602 2644 2799 2837

上記表は、統計資料の数字です。

「検挙人員」と「検挙件数」が一致しないのは,同一人物に複数件の犯行容疑のあることなどが理由です。

表から分かるとおり,例年強制わいせつの「認知件数」は減少しているのに,「検挙人員」と「検挙件数」は増加しています。そのため,平成25年は7654件認知のうち3976件検挙と,5割ほどの検挙率でしたが,平成29年は5809件認知のうち4320件検挙と,7割5分ほどの検挙率となっています。

ここ4年間の検挙率の急上昇は,監視カメラの普及や携帯電話機能の向上,科学的捜査手法発展などによる賜物か,はたまた別の要因か・・・痴漢冤罪などの事態には強い注意を払いたいものです。

2 留意点

統計資料は,あくまで警察が計上統計して発表している数字であることを留意した上で参考にすべきでしょう。

(1)
まず,「認知件数」は,被害申告等によって,あくまで警察が認識できた件数であって,犯罪発生件数とイコールではありません。昔は「犯罪発生件数」という言葉が使われていました。しかし,全国の犯罪を警察で全て把握出来ているわけはなく,誤解を与える言葉であったため,「認知件数」という言葉に変更されたものです。

(2)
さらに,「検挙件数」及び「検挙人員」も,あくまで犯罪“容疑”で検挙したものであり,実際にはのちのち被疑者の疑いが晴れて不起訴となる事件や無罪となる事件なども含まれた数字です。起訴事件や有罪事件の数字ではありません。

(3)
最後に,警察は,①犯罪を予防する,②犯罪が発生した場合には犯人に然るべき処罰を受けさせる,という目標があります。

この目標については,①犯罪を予防する→“犯罪認知件数を減少させる”,②犯罪が発生した場合には犯人に然るべき処罰を受けさせる→“検挙率を上げる”という,単に数字上の達成目標に成り下がらないようにしなければなりませんが,統計資料では,少なからず「数字計上するか否かに影響する取り扱いの差異」が含有された上での数字となります。

「数字計上するか否かに影響する取り扱いの差異」というのは,犯罪発生とみなすか否かの取り扱い,被害届や告訴を受理するか否かの取り扱い,不審死についての事件死か事故死かの判断に関する取り扱い,など,都道府県,地域,警察官ごとの差異です。
そのため,まるっと鵜呑みにするのは避けた方が良いでしょう。

取り扱いに関しては,難しい判断を求められるものや,裁量の生ずるものもありますが,机上の数字目標のみに捕らわれ,上記のように本来の目標を見失うことがないようしなくてはならないものであることは,言うまでもありません。

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投稿者: 弁護士法人桑原法律事務所

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