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2021.12.21更新

盗撮をした場合,その後,どのようなことが起きる可能性があるでしょうか。以下で詳しく解説いたします。

盗撮で逮捕されるのか?

盗撮を行ってしまった場合,その場でばれてしまう,盗撮したということで警察が自宅に突然訪問してきた,ということが起こる可能性があります。盗撮事件のニュースで逮捕に至る場合の多くは、現行犯逮捕であるかと思います。ただし,現行犯逮捕される場合を除いて,逮捕されることはあまりないかもしれません。

もっとも,どのような場合に逮捕するかは,捜査機関側が,逃亡の可能性や罪証隠滅の可能性を検討して行うことになりますので,それらの可能性が高いと判断された場合には,逮捕されることもあり得ます。

盗撮に失敗しても罪に問われる?

「盗撮をしようとして,コンビニのレジ前に並んでいた女性のスカートの中にスマートフォンを差し入れたが,カメラを起動していなかったため撮影することができなかった」といった場合にも,盗撮として罪に問われるのでしょうか。

福岡県迷惑行為防止条例では罪に問われる可能性がある

もし,上記のような場合で,スカートの中を撮影したとすれば,各県の迷惑行為防止条例違反になり,罪に問われることになります。
もっとも,結果としてスカートの中を撮影できていませんので,このような場合も罪に問われるのかが問題になります。この点,福岡県迷惑行為防止条例では,撮影をしようとして他人の身体にカメラを向ける行為についても処罰されます。したがって,カメラで撮影できなかった場合でも罪に問われる可能性があります

盗撮画像を消しても逮捕される?

それでは,「盗撮がばれたのですぐ画像を削除した」という場合は,逮捕されたり有罪となったりするのでしょうか。

この点、盗撮の証拠は盗撮画像だけではなく、防犯カメラの映像被害者や目撃者の証言等も証拠となります(盗撮の証拠について)。盗撮画像以外でも証拠があれば,逮捕されたり,有罪となる可能性があります。また,近年の捜査においては,デジタルフォレンジックが進んでおり,盗撮画像を削除したとしても,画像が復元される可能性があります。

実際に盗撮を行い,それが発覚したのであれば,早期に被害者の方と示談についての協議を行うべきでしょう。示談をすることができれば,刑事事件とならない可能性がありますし,刑事事件となったとしても不起訴となり処罰を免れる可能性があるからです。

どのような場合に盗撮で逮捕されるのか -現行犯逮捕と通常逮捕-

(1) 逮捕の種類

逮捕の種類としては、通常逮捕現行犯逮捕緊急逮捕があります。
くわしくは、こちらの記事をご覧ください。

(2) 盗撮で現行犯逮捕される場合

盗撮行為が被害者やその場にいた第三者に見つかった場合,すぐに警察に通報され,警察署に連行される可能性があります。場合によっては,現行犯逮捕される可能性もあるでしょう。
例えば,電車内や駅構内のエスカレーター等で女性の下着をスマートフォンで盗撮し,被害者や周囲の人に発覚した場合には,発覚した時点で警察を呼ばれて現行犯逮捕されるケースが多いでしょう。

警察に連行されても,被疑者が素直に罪を認め,被害者も許してくれるような場合には,すぐに釈放されることもありますが,被害者が厳罰を求めて被害届を提出したような場合には,捜査が開始され,逮捕されていれば身柄拘束が長引く可能性もあります。

(3) 盗撮で通常逮捕される場合

盗撮直後は発覚せず、または逃走が成功して現行犯逮捕は免れたが、防犯カメラ映像等による追跡で身元が明らかになり通常逮捕ということもありますし、別件の盗撮で現行犯逮捕された際に、余罪として前に行った盗撮について通常逮捕されるということもあり得ます。
また、盗撮直後に発覚し、取調べを受けたものの現行犯逮捕はされなかったが、その後の捜査機関からの呼出しに応じないため、通常逮捕されるということもあり得ます。

盗撮で逮捕された後の流れ

盗撮で逮捕された後は,どのような流れになるのでしょうか。

1. 検察官送致(逮捕後48時間以内)

 

盗撮で逮捕されると,警察署に留置されるのが一般的です。逮捕された被疑者は,48時間以内に検察官に送致されます。
もっとも,軽微な事案で被害者も許してくれているような状況であれば,検察官に送致される前に釈放される場合もあります。

2. 勾留請求(送致後24時間以内)

検察官に送致された場合,検察官は,24時間以内に,勾留請求するか否かを判断することになります。
検察官が勾留請求しない場合はそのまま釈放されます。前述のように,比較的軽微な事案等の場合は,そのまま釈放されることもあるでしょう。

3. 勾留決定

検察官が勾留を請求し,裁判官が勾留を決定した場合,最大で20日間身柄を拘束されることになります(勾留された場合は,原則として10日間身柄を拘束されますが,さらに10日間,勾留期間が延長される場合があります。)。
そして,検察官は,勾留期間が満了するまでに起訴か不起訴かを決めることになります。

4. 起訴または不起訴

不起訴であれば釈放され,起訴であればそのまま勾留される場合が多いと思われます。起訴後は「保釈」という制度がありますので,保釈制度を利用して釈放される場合が多いです。

5. 保釈が認められない場合

保釈が認められなければ,そのまま判決まで身柄が拘束され,判決の内容に応じて釈放されるか,そのまま刑事施設に収容されるかが決まることになります。

盗撮事件の釈放後はどうなる?

盗撮で一旦逮捕された場合でも,その後釈放されれば,在宅で捜査が行われます。釈放されたからといって捜査をしないわけではないのでご注意ください。

釈放後は,必要に応じて,警察官や検察官から,警察署や検察庁に取調べ等の捜査のために出頭するよう連絡がきます。そして,必要な捜査を終えれば,検察官が起訴するか,不起訴にするかを判断します
起訴されれば裁判になりますので,裁判所から出頭するように呼出しがあります。他方で,不起訴になればそこで捜査は終了します。不起訴の場合,検察官から不起訴にしましたと連絡がくるわけではないので,ご自身で確認する必要があります。

盗撮で逮捕された場合に生じる不利益

盗撮で逮捕された場合には上記のような流れで手続が進みますが,逮捕されたことによる様々な不利益が発生することが考えられます。

精神的不安

逮捕後は外部との接触を遮断され,非常に大きな精神的ストレスを抱えることになります。勾留決定が出るまでは,弁護士としか面会することができず,家族とも会うことができません。
家族や友人等と連絡をとることができなくなれば,突然連絡がとれなくなった家族や友人等も,強い不安を抱くことになるでしょう。

仕事への影響

逮捕されれば,当然仕事をすることもできなくなりますから,勤務先には多大な迷惑をかけることになりますし,連絡をせずに仕事を休めば無断欠勤になります。
そのような状況が長期化すれば,解雇される可能性も高くなります。解雇された場合の経済的な不利益は,非常に大きなものになります。

マスコミによる実名報道

盗撮をして逮捕されると,マスコミにより実名報道されることがあります。さらに最近は,ネットニュース等ですぐに拡散されてしまうこともありますので,以前と同様の生活をすることが難しくなる場合もあります。

不利益を小さくするための弁護士の活動

身柄拘束が長期化すると,上記のように,様々な不利益が生じる可能性があります。
このようなときに,弁護士は,身柄拘束による様々な不利益をできる限り小さくできるよう活動することができます。

・逮捕後,検察官が勾留請求しないよう働きかける
・勾留請求された場合には,裁判官に対して勾留請求を却下するよう働きかける
・勾留決定がなされた場合には,決定を取り消すよう働きかける
・起訴された場合には,保釈請求を行い,身柄の解放を目指す

盗撮で通常逮捕されるのを回避するには

被害者との示談

まず、被害者と示談するということが考えられます。被害者と示談することができれば、そもそも刑事事件化しないことが考えられますし、仮に事件として捜査されていても、不起訴となる可能性が高まります。

被害者と示談するためには、被害者の連絡先を知る必要があります。被害者の情報がまったくなく、調べようがない場合は、警察や検察などの捜査機関から教えてもらうしかありません。
もっとも、被害者の方は、加害者に対して多大な恐怖心や嫌悪感を抱いており、「氏名や連絡先など教えたくない」というのが一般的です。したがって、警察や検察などの捜査機関に問い合わせても、連絡先を教えてくれないのが通常です。
しかし、被害者の方も、「弁護士であれば教えてよい」という方は多いものです。そのため、加害者としては、被害者の情報が不明である場合は、弁護士に依頼したほうがよいということになります。

自首、捜査への協力

また、自首をし、捜査に協力をするので、逮捕は控えてほしいと要請することも考えられます。
どのような場合に自首をすべきかは、難しい判断となりますので、まずは弁護士にご相談ください。

逮捕された場合の弁護士の活動

盗撮で逮捕された場合,弁護士はどのような活動をしてくれるのでしょうか。

1.身体拘束を解放するための活動

まずは日常生活を取り戻すために身体拘束からの解放を検討することになります。
弁護士が関与する時期によって,取り得る方法は変わってきますが,具体的な方法としては,勾留請求却下の申入れ,勾留決定に対する準抗告の申入れ,勾留取消請求等が考えられます。必要書類を作成し,ご家族などの協力を受けながら,適宜手続をとることになります。

2.被害者との示談

また,間違いなく盗撮を行ったのであれば,被害者の方と示談についての協議を行うことになります。
盗撮事件の被害者は,自身の氏名や連絡先などの情報を加害者にはオープンにしたくないでしょうから,そのような場合,弁護士は捜査機関に連絡し,「被害者と協議をすることができるか確認してほしい」と依頼することになります。被害者の了承が得られた場合には,捜査機関から被害者の情報を開示してもらうか,被害者から弁護士に連絡をしていただくことになります。

弁護士は,被害者に対し,加害者からの謝罪の意思を伝えるとともに,示談金の支払い等の条件について提案し,被害者からの回答を待つことになります。被害者から条件について了承いただいた場合には,弁護士が示談書を作成し,示談書に記載した条件を履行することになります。

なお,被害者が未成年の場合は,親権者と協議を行うことになります。お子様が盗撮された場合に,親権者であるご両親から許しをいただくことは容易ではありませんが,被害者やご両親の心情に配慮しながら,粘り強く協議をして,示談を試みます。

3.治療の指示

盗撮を何度も行っている場合,本人もあらがえなくなっている可能性があります。そのような場合,いくら本人がやめようと思ってもやめられるものではありません。
治療が必要ではないかと感じた場合には,治療をお願いすることになります。

4.意見書の提出

最終的には検察官が処分をすることになりますが,検察官が処分するまでの間に,意見書を提出するという方法で,弁護人としての意見を検察官に伝えることになります。

逮捕されなかった場合や釈放された場合の活動

逮捕されなかった場合や釈放された場合には,その後どうすればいいのでしょうか?
この場合には,身体拘束を解放するための活動は不要ですが,その他の活動は必要となります。被害者との示談,治療,検察官への意見書の提出等の活動を行っていくことになります。

盗撮で逮捕されて不起訴になることはある?

起訴するかどうかは,基本的に検察官が決定します

どのような場合に検察官が起訴するかどうかですが,刑事訴訟法では,「犯人の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは,公訴を提起しないことができる。」と定められています(刑事訴訟法248条)。したがって,検察官は,様々な事情を考慮して,起訴・不起訴を決めます

盗撮に関していえば,被害者と示談できているかどうかは重要な考慮要素になると考えられます。したがって,前科がつかないようにするためには,被害者との示談が重要です。その他の事情も影響しますが,示談できた場合には,不起訴となる可能性が高まります。

盗撮で逮捕されると必ず前科がつく?

「前科」とは,裁判で懲役刑や罰金刑を言い渡されたもののことをいいます。懲役刑に執行猶予がついている場合も前科にあたります。
また,前科と似た言葉として「前歴」というものがあります。前歴とは,検察や警察等の捜査機関による捜査の対象になったものの,刑罰を課されていないもののことをいいます。

盗撮で逮捕された場合ですが,逮捕されたからといって必ずしも裁判になるとは限りません。そして,裁判にならなければ前科となることはありません。もっとも,捜査を受けたということにはなりますので,前歴としては残ることになります。

前述のとおり,裁判にするかどうか,すなわち起訴するかどうかは基本的に検察官が決定します

盗撮事件では被害者との示談が重要です

盗撮に関していえば,被害者と示談できているかどうかは重要な考慮要素になると考えられます。したがって,前科がつかないようにするためには,被害者との示談が重要です
一般的に,被害者は,加害者本人と連絡をとりたくないと思われる方が多いですが,弁護士であれば連絡に応じてもよいという方もいらっしゃいます。

盗撮の被害者との示談を弁護士に依頼するべき?

盗撮の場合は被害者がいますので,被害者と早期に示談をし,身柄の解放を目指すことになります。
被害者の中には,被疑者や被疑者の家族とは話をしたくないという方も多いですが,弁護士とは話をしてもよいという方もいらっしゃいます。被害者と早期に示談ができれば,身柄が解放される可能性が高まります。

仮に,身柄拘束されなかったとしても,被疑者に連絡先を教えたくないという被害者の方は多いので,このような場合には,被疑者やその家族が連絡することは困難なので,弁護士に依頼すべきでしょう。弁護士は,被害者の了承を得たうえで捜査機関から連絡先を教えてもらい,被害者と示談の話し合いをすることになります。

示談金額の相場や示談の条件について

示談金については,事件の内容や被害者の考え,被疑者の資力等により金額が変わりますが,数十万円が相場であると考えられているようです。また,示談する際には,盗撮画像の破棄,接触禁止,口外禁止の条項を盛り込むことが多いでしょう。
被害者の感情に配慮しながら,被害者が納得する示談の内容を提案し,示談をすることになります。

被害者との示談が成立したら

被害者との示談ができれば,初犯の場合,不起訴になる可能性が高くなります。
もっとも,被害者と示談するだけでは不十分な場合には,身元引受人を確保したり,被疑者の生活状況更生に向けた努力(通勤の際の犯行であれば通勤手段として電車を利用しない等)を主張したりして,不起訴にするよう検察官に求めることになります。

さいごに

盗撮事件において,不起訴や前科がつかないことを望む場合は,被害者の方と示談できるかが重要になります。しかし,被害者の方は,被疑者に対しては連絡先を教えたくないという方もたくさんおられます。
そのような場合は,まずは弁護士にご相談ください。被害者の方の感情に配慮しながら,早期の示談成立に向けた活動をいたします。

盗撮に関する法律

盗撮に関係する法律は、以下のようなものがあります。

(1) 迷惑防止条例

各都道府県に類似の迷惑防止条例があります。
例として、福岡県の条例では、以下のように定められています。

福岡県迷惑防止条例6条
2 何人も、公共の場所、公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所において、正当な理由がないのに、前項に規定する方法で次に掲げる行為をしてはならない。
一 通常衣服で隠されている他人の身体又は他人が着用している下着をのぞき見し、又は写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下この条において「写真機等」という。)を用いて撮影すること。
二 前号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置し、又は他人の身体に向けること。
3 何人も、正当な理由がないのに、第一項に規定する方法で次に掲げる行為をしてはならない。
一 公衆便所、公衆浴場、公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人の姿態をのぞき見し、又は写真機等を用いて撮影すること。
二 前号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置し、又は他人の身体に向けること。

そして、これらに違反した場合の罰則は次のとおり定められています。

福岡県迷惑防止条例11条
2 第二条又は第六条から第八条までの規定のいずれかに違反した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
同条例12条
常習として前条第二項の違反行為をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

盗撮をして福岡県迷惑防止条例で起訴された場合,6か月以下の懲役または50万円以下の罰金(常習である場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金)に処せられる可能性があります。
また,軽犯罪法違反で起訴された場合,拘留(1日~30日未満の身柄拘束)または科料(1000円~1万円未満)に処せられる可能性があります。

(2) 軽犯罪法

盗撮に関して、軽犯罪法にも規定があります。

軽犯罪法1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
二十三 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

(3) 住居(建造物)侵入罪

盗撮を行った場所によっては、住居侵入罪ないし建造物侵入罪となる可能性があります。

刑法130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

さいごに

盗撮に関して心配事がある場合には,まずは桑原法律事務所にご相談ください。
弁護士に対する相談については守秘義務があり,外部に盗撮の事実が漏れる心配はありませんので,安心してご相談ください。

投稿者: 弁護士法人桑原法律事務所

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福岡市にある弁護士法人桑原法律事務所です。刑事事件においては、一日も早い着手と迅速な対応が欠かせません。福岡県近郊で、刑事事件でお困りの方は、すぐにご相談ください。情熱と向上心のある弁護士たちが真摯に向き合い、一日も早い円満な解決を目指します。

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