[ Q ]
万引きで執行猶予中に,再度万引きをしてしまいました。今後,どうなってしまうのでしょうか。
[ A ]
前回は,執行猶予期間内に再度罪を犯してしまった場合でも,執行猶予が付される可能性があることを説明しました。
前回記事:執行猶予中の万引きで再度逮捕されたらどうなる?
しかしながら,執行猶予期間内に再度罪を犯してしまった場合,執行猶予が取り消されるケースもあります。
執行猶予の取消しとは
執行猶予の取消しには,① 必要的取消し と ② 裁量的取消し があります。
① 必要的取消し
執行猶予の期間内に更に罪を犯して禁固以上の刑に処せられ,その刑の全部について執行猶予の言渡しがないときには,執行猶予は必要的に取り消されます(刑法第26条第1号)。
したがって,ご質問の場合,再度犯した万引きについて,懲役2年の判決を宣告された場合(執行猶予の言渡しがない場合)には,執行猶予が必要的に取り消されることになります。
② 裁量的取消し
執行猶予の期間内に更に罪を犯し,罰金に処せられたときには,裁判所は,刑の全部の執行猶予を取り消すことができるとされています(刑法第26条の2第1号)。
したがって,ご質問の場合,再度犯した万引きについて,罰金刑を宣告された場合には,裁判所の裁量で執行猶予が取り消される可能性があります。
さいごに
このように,執行猶予期間中に再度罪を犯した場合でも,様々な結論が予想されますが,上記は予想される結論のうち,主なものに限定して説明しています。さらにくわしく知りたいという方は,一度弁護士にご相談いただくことをおすすめいたします。
▼ 補足: 根拠条文
刑法第26条(執行猶予の必要的取消し)
次に掲げる場合においては、刑の執行猶予の言渡しを取り消さなければならない。ただし、第三号の場合において、猶予の言渡しを受けた者が第25条第1項第二号に掲げる者であるとき、又は次条第三号に該当するときは、この限りでない。
1 猶予の期間内に更に罪を犯して禁錮以上の刑に処せられ、その刑について執行猶予の言渡しがないとき。
2 猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その刑について執行猶予の言渡しがないとき。
3 猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられたことが発覚したとき。
刑法第26条の2(執行猶予の裁量的取消し)
次に掲げる場合においては、刑の執行猶予の言渡しを取り消すことができる。
1 猶予の期間内に更に罪を犯し、罰金に処せられたとき。
2 第25条の2第1項の規定により保護観察に付せられた者が遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いとき。
3 猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その執行を猶予されたことが発覚したとき。