[ Q ]
窃盗罪で保釈される場合,保釈金はいくらぐらいになりますか?
[ A ]
150万円程度が多いとされています。
くわしい解説
今回は,窃盗罪(万引き)での保釈金の金額について,解説します。
前回記事: 窃盗罪(万引き)での保釈は可能ですか?
妻と子がいる会社員であるAさんが,スーパーで食料品等10点(3000円相当)を万引きしました。子どもはまだ幼く,妻はパートをしていますが,生活のためにはAさんの収入が必要不可欠な状況です。Aさんは以前にも万引きをして逮捕されたことがありました。Aさんは後日起訴されました。
保証金を納めなければ保釈は許されない
上記のような万引きの事案で,保釈が認められる場合,保証金はいくらになるのでしょうか。保釈は保証金を納めなければ許されませんので(刑事訴訟法94条),Aさんが保証金を納めることができるか,その金額が問題になります。
保証金額は,犯罪の性質および情状,証拠の証明力ならびに被告人の性格および資産を考慮して,被告人の出頭を保証するに足りる相当な額でなければならないとされています(刑事訴訟法第93条第2項)。
窃盗罪(万引き)での保証金の相場
一般的な万引きの事案であれば,保証金は150万円程度が相場といわれています。もっとも,被告人の資力が高い場合や,事案が悪質であり,実刑判決が予想されて逃亡のおそれが高い場合などは,高額になるケースもあると思われます。
保釈が取り消される場合
仮に,被告人が逃亡したなど,刑事訴訟法第96条第1項(※下記に条文を記載)の事由が生じた場合には,保釈が取り消される可能性があります。その場合,保証金の全部または一部が没収される可能性があります(刑事訴訟法第96条第2項)。
裁判所は、左の各号の一にあたる場合には、検察官の請求により、又は職権で、決定を以て保釈又は勾留の執行停止を取り消すことができる。
1号 被告人が、召喚を受け正当な理由がなく出頭しないとき。
2号 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
3号 被告人が罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
4号 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき。
5号 被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき。
2 保釈を取り消す場合には、裁判所は、決定で保証金の全部又は一部を没取することができる。
3 保釈された者が、刑の言渡を受けその判決が確定した後、執行のため呼出を受け正当な理由がなく出頭しないとき、又は逃亡したときは、検察官の請求により、決定で保証金の全部又は一部を没取しなければならない。