窃盗事件の被害者と示談する条件
被害者と示談をするためには,主として以下のような条件が必要になるでしょう。
① 被害者に謝罪をする
② 被害の弁償(回復)をする
③ 今後被害者と接触しないことを約束する(万引きの場合は店舗に立ち入らないことを約束する)
① 被害者に謝罪をする
まず,被害者に対しては素直に罪を認めて,真摯に謝罪をすべきです。
身柄拘束されて直接謝罪ができない場合は,謝罪文や反省文を作成して渡すという方法もあります。
② 被害の弁償(回復)をする
盗んだ物を返す,盗んだ物と同程度の金額を支払うなどして,被害の回復を図ります。
③ 被害者と接触しないことを約束する(万引きの場合は店舗に立ち入らないことを約束する)
被害者は,被疑者と関わりたくないと思うのが通常です。コンビニやスーパーなどの店舗の場合は,再び窃盗をされてはたまらないので,二度と店舗に立ち入らないことを願うでしょう。
弁護士の活動
上記①~③のような対応は,もちろん被疑者自身でも可能です。しかし,被害者は,③のように「被疑者と関わりたくない」「被疑者と直接やりとりをしたくない」と思われる方も多くいらっしゃいます。
そのような場合は,弁護士に依頼をして,被害者と示談の話をすることになります。そして,弁護士は,被害者に対して,被疑者を許してもらい,厳重な処罰を求めないようお願いするなどして,少しでも刑事処分が軽くなるような示談を目指します。
無事に被害者と示談ができた場合には,弁護士は,警察や検察に対して示談書を提出するとともに,意見書を提出するなどして,不起訴などの処分を求めることになります。
示談ができなかった場合は
もっとも,示談ができなかった場合に,必ず重い刑事処分を受けるかというとそういうわけではありません。示談ができなくても,示談に向けた努力をしたことを捜査機関に伝えることにより,処分が軽くなる可能性が高まります。
例えば,被害弁償を受け取ってもらえない場合には,法務局に供託をすることになりますし,示談の経緯(弁護士が被害者と連絡をとり,謝罪文を渡したこと,被害弁償や示談の申し出をしたこと等)や示談ができなかった理由を警察や検察に伝えることにより,示談に向けて努力したことを考慮してもらえるよう求めることになります。
さいごに
以上のとおり,示談ができなかった場合であっても,刑事処分が重くなるとは限りません。
窃盗罪(万引き等)を犯した場合には,お早めに弁護士に依頼されることをおすすめいたします。