[ Q ]
息子が万引きをして現行犯逮捕されました。警察から聞いた話によれば,これまでに何度も万引きをしていたようです。すぐに家に帰ってこられるのでしょうか。
[ A ]
「万引きが発覚したのは今回が初めて」であり,「万引きした商品の金額が小さく,被害者が許している」場合は,48時間~72時間以内に家に帰ってこられる可能性は高いでしょう。
以下で,くわしく解説していきます。
まずは,逮捕後の流れを見ていきましょう。
① 逮捕後48時間
被疑者が現行犯逮捕された場合,逮捕された時から48時間以内に検察官に送られます。もっとも,事案によっては,検察官に送られず,釈放される場合があります。例えば,万引きはしたものの,100円の商品を1個万引きした,というケースでは,すぐに釈放される可能性は十分あるでしょう。
② 逮捕後72時間
被疑者が検察官に送られた場合,検察官は,被疑者を受け取った時から24時間以内に,勾留請求するかどうかを決めます。
検察官が裁判所に勾留請求をしない場合には,その時点で被疑者は釈放されることになります。したがって,この段階であれば,逮捕から72時間以内に被疑者は釈放されます。
③ 勾留(最大20日間)
検察官が裁判所に勾留請求をした場合,裁判官が勾留するかどうかを決めます。
裁判官が被疑者の勾留をしない場合には,その時点で釈放されることになりますが,勾留をする場合には,原則として10日間勾留されることになります。検察官は,裁判所に対し,さらに10日間の勾留の延長を請求することができます。したがって,被疑者は,最大で20日間勾留されることになります。
勾留請求されるのは,被害金額が大きく,過去に何度も万引きをして逮捕されているなど,事案が軽微でないケースが多いと思われます。
そして検察官は,勾留期間が満了する前に,被疑者を起訴するかどうかを決めます。
④ 起訴後勾留(無期限)
被疑者は起訴されると被告人という立場になりますが,被告人は,起訴後にも勾留される場合があり,最初に2か月間勾留され,その後1か月毎に勾留が更新されることが多いです。
もっとも,保釈により勾留が停止され,身柄が解放される場合もあります。保釈が認められるためには保釈保証金が必要ですが,万引きの場合,事案にもよりますが,100万円~200万円程度は必要だと思われます。
⑤ 判決
被告人が罰金や執行猶予判決を受けた場合には,判決の言渡しによって勾留は失効します。したがって,罰金や執行猶予判決まで勾留されているようなケースでは,この時点でようやく釈放されることになります。逮捕された時点から身柄が解放されるまで,早くても5ヶ月程度はかかるものと思われます。
質問に戻りましょう。
今回は,「息子が万引きをして現行犯逮捕されました。警察から聞いた話によれば,これまでに何度も万引きをしていたようです。」というお話なので,息子さんの万引きが発覚したのは今回が初めてであると思われます。今回の万引きをした商品の金額や,被害者の感情などにもよりますが,おそらく,勾留される可能性は低いと思われます。
したがって,「すぐに家に帰ってこられるのでしょうか」という質問に対しては,「万引きした商品の金額が小さく,被害者が許しているのであれば,48時間~72時間以内に家に帰ってこられる可能性は高いでしょう。」という回答になります。
さいごに
今回の質問に関しては以上のとおりとなりますが,万引きも事案によっては勾留が長引きますので,逮捕されたらお早めに弁護士にご相談いただくことをおすすめします。
特に,逮捕期間中の面会は,弁護士のみ認められていますので,身内の方が逮捕されたらすぐに,弁護士に被疑者との面会を依頼し,事情を把握するべきでしょう。