実刑判決について ―刑の種類―
刑事裁判で有罪となった場合の刑の種類としては,死刑,懲役,禁錮,罰金,拘留および科料があります。また,付加刑として,没収があります(刑法9条)。
これら以外は,刑の一種に類似するものであっても刑ではありません。
懲役,禁錮,拘留 ―自由刑―
懲役,禁錮,拘留は,身体拘束を受ける刑(自由刑)のことをいいます。
懲役は,無期か,1月以上20年以下の身体拘束を受ける刑であり,規則的労働を強制されます。
禁錮は,期間については,懲役と同じですが,規則的労働を強制されません。
拘留は,1日以上30日未満の身体拘束を受ける刑であり,規則的労働を強制されません。
罰金,科料 ―財産刑―
罰金,科料は,一定の金額の剥奪を目的とする刑(財産刑)のことをいいます。
罰金は1万円以上であり,科料は1000円以上1万円未満の金額と定められています。
これらが刑の内容ですが,刑法には,執行猶予というものも定められています。
執行猶予とは
執行猶予とは,法律で定められた要件を満たす者が,3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは,情状により,1年以上5年以下の期間,その執行を猶予することができるという制度であり,上記の刑の宣告がされても直ちに刑に処されるのではなく,その執行が猶予されるというものです。そして, 執行猶予を取り消されることなく,執行猶予の期間を経過したときは,刑の言い渡しはその効力を失います。
したがって,執行猶予がつかなければ,直ちに刑事施設に収容されたり,罰金を支払ったりしなければならなくなります。
懲役,禁錮について,執行猶予がつくかつかないかは,その後の生活に非常に大きな影響を与えるものですので,弁護人と十分に協議していただければと思います。