逮捕の手続きは、大きく3つに分けられます。
①通常逮捕、②緊急逮捕、③現行犯逮捕、です。
①通常逮捕 および ②緊急逮捕については令状が必要ですが、③現行犯逮捕の場合は令状が不要です(憲法33条)。
憲法33条
何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。
また、①通常逮捕については、逮捕前に裁判官から令状の発布を受ける必要があるのに対し(刑事訴訟法199条1項)、②緊急逮捕については、逮捕後に令状の発布を受ければ足ります(刑事訴訟法210条1項)。
通常逮捕について
では、①通常逮捕についてみていきます。
前述のとおり、通常逮捕を行う前には、逮捕前に、令状の発布を受ける必要があります。
刑事訴訟法199条1項本文
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する令状により、これを逮捕することができる。
逮捕状により被疑者を逮捕する場合は、逮捕状を被疑者に示さなければなりません(刑事訴訟法201条1項)。
逮捕の要件
そして、逮捕の要件は、(A)逮捕の理由と(B)逮捕の必要性です。
刑事訴訟規則143条
逮捕状を請求するには、逮捕の理由(逮捕の必要を除く逮捕状発布の要件をいう。以下同じ。)及び逮捕の必要があることを認めるべき資料を提供しなければならない。
(A) 逮捕の理由とは、罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があることをいいます。
(B) 逮捕の必要性とは、逃亡または罪証隠滅のおそれがあることです。
これら逮捕の要件についての判断は、令状を発布する裁判官が行います。裁判官が判断を行うことにより、不当な人権の制約を防止するためです。