被疑者・被告人の権利として、黙秘権(供述拒否権)があります。
憲法38条1項は、「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」と定めており、刑事訴訟法311条1項は、「被告人は、終始沈黙し、又は個々の質問に対し、供述を拒むことができる」と定めています。被疑者については、黙秘権を認める明文の規定はありませんが、被告人と同様に黙秘権が認められていると解されています(刑事訴訟法198条2項)。
刑事訴訟法198条(1項2項のみ抜粋)
1項)検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。
2項)前項の取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。
黙秘権は、被疑者・被告人が、自己の意思に反して自白をさせられ、不当な処罰がなされたりすることのないよう、認められたものです。
もっとも、実際の取調べでは、捜査官が被疑者を怒鳴りつけて脅し、自白させようとすることは少なくありません。このような場合、弁護人としては抗議文を送付するなどして、黙秘権が侵害されることのないよう、働きかけをすることになります。